・ALTIX Ⅲ
【ALTIX Ⅲ】SPECIFICATIONS
製造メーカー名
発売年
型式
画面サイズ
レンズ
ファインダー
露出計
フィルム感度対応範囲
シャッター
シャッタースピード
セルフタイマー
シンクロ接点
フィルム巻き上げ
フィルム巻き戻し
電源
サイズ
重量
販売価格
Eho Altissa(エホー・アルティッサ)
1949年
目測式カメラ
24mm × 24mm
ROW Tegonar 35mm F3.5 絞り羽8枚
有り
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クルーダー製レンズシャッター
B・1〜1/2, 1/5, 1/10, 1/25, 1/50, 1/100, 1/200秒
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ノブ巻き上げ式
ノブ巻き上げ式
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73×113×55mm
365g
不明
作例
感想
小ぶりでポケットにも入る大きさであり携帯性の良いカメラです。機構としてはとても単純でありますが、それ故に、フィルムを巻き上げた後には、必ず手動でシャッターチャージを行わなければならず、それを忘れることによりせっかくのシャッターチャンスを逃すことが生じます。
写りとしては1949年製のレンズにしてはほどほどに写っている感じではありますが、周辺光量落ちは想像以上に多いうえに、レンズの内部で乱反射が生じているのか、光量ムラが多く、実際の光景とは違う明るいところと暗いところが混在する写りになりがちです。
作例を見ると全体的にシャープさが足りない少しもっさりした感じです。撮影日は真夏の炎天下、フィルムは、何も考えずKODAK PORTRA 400を充填しての撮影。この機種はシャッターが最高速で1/200秒でしたので、屋外の撮影では、常にF16に絞り込まなければならないという状況でしたので、回析収差が生じ、なおさらもっさり感が出てしまったと思い反省しています。とはいえ室内でも同じような現象が見られますし、上記の理由も含めて不安定な写りには変わりありませんでした。このカメラの写りの方向性は理解していただけたかと思います。
次回には、ISO100での撮影を行いたいと思っております。その時にはまた作例、感想をアップ致します。
小型・軽量で、レンズ交換を行うことができる35mmスクエアサイズ判・レンズシャッター式カメラ。4年間製造期間には色々とマイナーチェンジ等の多数の種類が見られます。その中でレンズはカールツァイス(テッサーかノバー)のレンズが搭載された種類のものがあります。
レンズ交換ができるという設定で50mmF2.9のレンズが設計されていたようですが、ファインダーはそれに対応されていませんし、それようにファインダーを設けるアクセサリーシューがこのカメラには取り付けられていません。またカールツァイスのレンズも別売ではなかったようで、実際には他のレンズが到着された個体を購入し、レンズだけを取り外しレンズ交換ということをしなければなりません。
このカメラの構造はシンプルで、フィルム巻き上げとシャッターチャージは関連しておらず、1作動式にはなっていないカメラです。そのためにシャッタースピードを設定しフィルムを巻き上げた後にはシャッターチャージを行う必要があります。それを習慣付けしておかないと、せっかくのシャッターチャンスの時にシャッターが切れないということになりかねません(私は何度もそういうことに遭遇しました。)このカメラには距離計は付いていませんので、目測で撮影を行います。
Eho Altissa社はこのレンズに撮影基準として5m・およそF7のところに赤印を刻印し、ここに目盛を合わせておくことを推奨しています。そうすることにより、2,3m付近〜無限遠まで被写界深度により焦点が合っている写真が撮影することができます。理論上では3m・F16に設定しますと1.3m〜無限遠まで焦点が合う撮影が行えますが、F値を絞りすぎますと、回折収差が生じ全体的に締まりのないもっさりした写真になりがちな弊害が生じますので、注意が必要です。
露出は、便宜的に絞りは赤印(F7)ではなくF8・5mに設定しておけば、状況に合わせた露出で、シャッタースピードだけを変化させれば、撮影はかなりストレスのないものになります。
フィルムのISO感度選択の話になります。 渡部 さとる氏が提唱する「感度分の16」
世界中、晴天なら太陽の光の量は一緒。晴れた日に写真を撮りたければ、絞りをf16まで絞って、感度分の1秒にシャッタースピードをセットすればいい。ISO400ならシャッタースピードは1/400で絞りはf16になる。
僕はこの法則を「感度分の16」と呼んでいる。
晴れた空の明るい場所では、このカメラの最高速1/200秒のシャッタースピードがで対応できるような感度のフィルムがふさわしく、もし ISO400のフィルムを選択しこのカメラに装填すると、晴れた空の元での設定F16・1/400秒ではこのカメラは対応できず、光量が飽和状態になり結果露出オーバーの写真になります。室内で撮影するということ等は別として、上記の理由からこのカメラにふさわしいフィルムの感度はISO100以下のフィルムということになります。
我々は、目測カメラと言われれば、被写体に対して距離を何らかの方法で求め、レンズの距離の目盛りをそこに追従させ撮影しがちですが、目測カメラは被写界深度の焦点ゾーンを利用し撮影を行う事で、焦点が合っている写真が撮影できるという、それだけ大らかな気持ちが込められたカメラとなります。もちろん撮影する都度に距離を追従しても、それはそれで楽しめます。この原理を利用して販売されたカメラはF値固定、距離固定の「写ルンです」となるわけです。
どうしても被写体への距離を追跡したい人は、別売の距離計、もしくはスマートフォンに距離を計測するアプリを入れて、撮影を楽しむのも一つの方法です。
参考文献・参考サイト
・デビット・エルワンド(著) 飯田鉄[監修] 和田郁子[翻訳]:その個性がおもしろい ヴィンテージ・フィルムカメラ・コレクション
株式会社グラフィック社
・根元泰人/季刊 analog 著:世界ヴィンテージ・カメラ大全 東京書籍
マニュアルカメラ・レンズの操作はなかなか興味深い (土曜日, 15 1月 2022 13:01)
加藤さんコメントありがとうございます。以前このカメラの写りが載っている本を見たことがありますが、やはり周辺光量落ちで、全体的におおらかな感じの作例でした。とはいえ、73年前のカメラと思えばよく写っているのかな?と感じています。これからもよろしくお願いいたします。
加藤雅司 (土曜日, 15 1月 2022 10:30)
デザインは時を超えて生き続ける感じる。このカメラしか撮れない世界あるんだろーな、きっと。ページがお洒落ですね。